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岡山地方裁判所 昭和49年(レ)1号 判決

控訴人(被申請人) 浅野初子

控訴人(被申請人) 浅野省吾

右両名訴訟代理人弁護士 宇山謙一

西田秀史

西田三千代

被控訴人(申請人) 山崎昇一

〈ほか三名〉

右三名訴訟代理人弁護士 平井昭夫

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

原判決を取消す。

被控訴人(申請人)らと控訴人(被申請人)ら間の岡山簡易裁判所昭和四八年(ト)第三二号工作物設置禁止仮処分事件について同裁判所が同年六月二九日になした仮処分決定(同年七月一一日になした更正決定を含む。)を取消す。

被控訴人らの本件仮処分申請を却下する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  被控訴人(申請人)らの本件仮処分申請の理由

1  被控訴人藤岡は別紙一目録記載(一)の土地(以下本件土地(一)という。同目録記載のその他の土地につき同様。)を、被控訴人山崎は同(二)の土地を、被控訴人今岡は同(三)の土地を各所有しており、控訴人初子は同(四)、(五)の土地を所有し、控訴人省吾は同(五)の土地を賃借あるいは使用借して占有している。

2  被控訴人ら所有の本件(一)、(二)、(三)の各土地はいずれも他の土地に囲繞された袋地である。すなわち、本件(一)、(二)、(三)の各土地およびその周囲の土地の状況は別紙三図面のとおりであり、本件土地(一)の東側は梅谷某所有の同所一四〇番の土地でその境界部分はブロック塀により完全に遮断され、本件土地(一)、(二)、(三)の南側は滝沢某所有の同所二六〇番七および同番一の土地で各地上に存在する居宅と滝沢アパートにより遮断されており、北側は谷川常次郎所有の同所二五九番の土地で、その地上には公衆浴場太陽湯と谷川荘(アパート)の建物があり、境界部分は一部を除きブロック塀で遮断されており、本件土地(三)の西側は控訴人ら所有ないし占有する本件土地(四)、(五)とその地上に居宅二棟があって、いずれの方向にも公路に通じていない。なお、現在本件土地(一)、(二)、(三)からは北側の谷川所有地内の太陽湯と谷川荘の間隙地を通過して新京橋通(市道)に出る径路が存在するが、右径路は当初から通路として開設されたものではなく、被控訴人らが谷川に懇請して暫定的に通行することを認めてもらったもので、通路というには値しない。

3  民法二一三条に基づく囲繞地通行権

本件土地(一)ないし(五)は、もと佐藤吉玖の所有にかかる一筆の土地(旧岡山市花畑二六〇番)であったが、昭和二四年八月に二六〇番(西側部分)と二六〇番三(東側部分)に分筆され、右佐藤が二六〇番の土地を村上長吉に、二六〇番三の土地を藤岡卓次に各譲渡し、その後、二六〇番の土地は右村上から浅野武男に譲渡され、武男死亡後控訴人らが相続した後、二六〇番と二六〇番一〇に分筆され現在に至っているものであり、二六〇番三の土地は二六〇番三、四、五の三筆の土地に分筆されて被控訴人らに各譲渡され、現在に至っている。

ところで、本件土地はもと一筆の土地であった当時は新京橋通に面していたので、袋地ではなかったが、昭和二四年八月の分筆譲渡によって本件土地(一)、(二)、(三)(当時は二六〇番三)が袋地となったものであり、被控訴人らとしては右分筆前の土地の残余地である本件土地(四)、(五)のみにしか囲繞地通行権を有しない。

4  民法二一〇条に基づく囲繞地通行権(予備的主張)

仮に民法二一三条に基づく囲繞地通行権が認められないとしても、

被控訴人ら所有の袋地たる本件土地(一)、(二)、(三)から公路に出るには、本件土地(四)、(五)内を通行して新京橋通に出る方法が被控訴人らにとって必要かつ最も自然であり、囲繞地のためにも最も損害が少い。すなわち、被控訴人らは現在谷川の意思により同人所有土地内を通行しているが、右径路は切削されたブロック塀をくぐり、太陽湯と谷川荘の間隙地を二重に鉤型に曲がって新京橋通に出るもので距離も被控訴人山崎方から約四五メートルあるが、本件土地(四)、(五)を通行できることになれば、被控訴人山崎方から約三〇メートルの直線通路によって新京橋通に通ずることになる。

5  しかるに、控訴人らは本件土地(五)の地上に控訴人省吾の名義で木造モルタル二階建、床面積一階約八〇平方メートル、二階約三〇平方メートルの住宅を建築しようとして、昭和四八年六月初旬ころ同地上にあったアパートを取壊して直ちに工事に着工したが、右建築は本件土地(五)と谷川所有地の境界線に沿って設置されているブロック塀から約一メートルの間隔しかあけずに、ほぼ右ブロック塀に接着して建物を建築するという設計に基づくもので、右建物とブロック塀との間に物置、柵、塀、マンホール、出窓その他の工作物が設置されると右空間は閉塞され、被控訴人らが本件土地(四)、(五)を通行することは、その執行が著しく困難となり、事実上不可能になる。

6  よって被控訴人らは本件土地(四)、(五)に対する囲繞地通行権を保全し、最小限度幅員一メートルの通路を保持すべく、控訴人らを被申請人として岡山簡易裁判所に工作物設置禁止の仮処分を申請したのであるから、これを認容した同裁判所昭和四八年六月二九日の仮処分決定(但し、同年七月一一日更正決定がなされている。本件仮処分決定の内容は別紙二のとおりである。)は相当である。

7  控訴人らの権利の濫用および本件仮処分決定を取消すべき事由が存在するとの主張は否認する。

二  控訴人(被申請人)らの答弁および主張

1  被控訴人ら所有の本件土地(一)、(二)、(三)は袋地ではない。すなわち、現在本件土地(一)、(二)、(三)からは谷川所有の岡山市新京橋一丁目二五九番の土地内を経て新京橋通に通ずる通路が存在し、被控訴人らも現実に右通路を通行しているのであるから、本件土地(一)、(二)、(三)は公路に通じているものである。

2  また、佐藤吉玖がもと一筆であった本件土地を二六〇番と二六〇番三に分筆して村上長吉と藤岡卓次に各譲渡した昭和二四年八月当時には、本件土地の北側境界部に接して谷川所有地内に幅員約三メートルの通路が存在し、右通路は西は新京橋通に、東は若宮町通(いずれも公道)に通じ、二六〇番三の土地を買受けた藤岡卓次も通行の用に供し、公衆も自由に通行していたのであるから、本件土地(一)、(二)、(三)は右分筆譲渡によって袋地化したものではない。

3  また、被控訴人らに民法二一〇条に基づく囲繞地通行権があるとしても、

本件仮処分決定の対象部分では、自転車やオートバイを持って出たり、家具を搬入することが不可能であり、火災地震等の際の安全な避難を困難ならしめ、消防活動にも重大な支障を来たすことが明白であるから、被控訴人らにとり、本件仮処分決定対象部分は民法二一一条一項の規定する「必要」な通路とはいえないし、谷川所有地内に通路を設定することにより谷川の蒙る損害が皆無であるのに比して、控訴人初子所有の本件仮処分決定対象地に通路を設定することになれば控訴人らは次のように重大な損害を蒙る。

(一) 控訴人省吾が新築した建物の風呂場と炊事場に給湯するための温水器を設置する場所は、本件仮処分決定の対象部分以外にはない。

(二) 控訴人初子所有家屋の便所は右新築建物との建築基準法上の関係から取壊さなければならないが、その移転場所は家相上本件仮処分決定の対象となっている部分しかない。

(三) 控訴人初子は美術商を営んでいるため、商品を保管する倉庫を必要とするところ、その設置場所は本件仮処分決定の対象部分以外にはない。

4  更に、本件土地(一)、(二)、(三)から谷川所有地内を通って新京橋通に出る現在の通路は、昭和四〇年五月二五日に谷川と被控訴人らとの間の裁判上の和解により決められたものであるが、右和解において右通路を通行できる期間を一〇年と定められているとはいっても更新が可能であるし、仮に更新できないとしても、それは右和解当時から当然予見しえたにもかかわらず被控訴人らが重大な過失によって更新について定めず、いたずらに通行の権利を放棄したのであるから、現段階になって控訴人らに対し隣地通行権を主張することは権利の濫用というべきである。

5  仮に被控訴人らに本件土地(四)、(五)につき囲繞地通行権があるとしても、次のとおり本件仮処分決定を取消すべき事由が存在する。

(一) 本件仮処分決定は被控訴人らおよびその借家人らの利益のためにも取消されるべきである。すなわち、本件仮処分決定の対象部分は通路としては狭すぎて不便であり、被控訴人らにおいて本件土地(一)、(二)、(三)上の建物を修繕、改築したり、建て直す場合に建築材料を搬入搬出することが極めて困難であるばかりでなく、新築しようとしても建築基準法の要求する通路条件に達しないため、建築許可がおりない。更に火災、地震などの際の被控訴人らおよびその借家人らの安全な避難も覚束ない。

(二) 本件仮処分決定は火災、地震などの災害を軽減して、社会の安寧秩序を保持し、公共の福祉を増進するという公益的見地からも取消されるべきである。すなわち、右のとおり狭い通路しかなければ消防活動に重大な支障が生ずる。

(三) 本件仮処分決定は国民経済という国家的見地からも取消されるべきである。すなわち、被控訴人らが所有する建物を建て直そうとしても、前記のとおり建築許可がおりないから、結局本件土地(一)、(二)、(三)は空地として放置せざるを得なくなり、国民経済的見地からも極めて不経済である。

(四) 本件仮処分決定は、私権は公共の福祉に従うことを明記した民法一条一項に違背しているから、取消されるべきである。

第三疎明≪省略≫

理由

一  申請の理由1の事実は当事者間に争いがない。

二  ≪証拠省略≫によれば、本件土地(一)ないし(五)およびその周囲の土地、道路の位置関係、関係建物等の位置が別紙三図面のとおりであり、本件土地(一)、(二)、(三)が他の土地に囲繞されていることが明らかである。なお本件土地(一)ないし(五)の南側にある二六〇番二の土地は、≪証拠省略≫によれば通路ではないことが疎明される。

三  ところで、現在径路というか通路というかの表現の問題はさておき、本件土地(一)、(二)、(三)から谷川の所有する二五九番の土地内を通って新京橋通に出る通路(別紙三図面の乙通路、以下乙通路という。)が存在することは当事者間に争いがない。控訴人らは、右乙通路の存在をもって本件土地(一)、(二)、(三)は袋地ではないと主張するのであるが、≪証拠省略≫によれば、乙通路は昭和四〇年五月二五日に谷川と被控訴人らとの間の裁判上の和解によって設定されたものであるとはいえ、右和解において谷川が被控訴人らの通行を許容する期間を一〇年に区切るなど必ずしも確定的な通路として設定されたものではなく、他に公路に通ずる通路をもたない被控訴人らのために谷川が一応の暫定的措置として被控訴人らの通行を認めたという程度のものであることが窺われるのであり、そうであるなら谷川が右期間満了とともに乙通路を閉鎖することが法的に許されるか否かはともかくとして、囲繞地通行権が争われている本件において、現在乙通路が存在するからといって、他に公路に通ずる通路のない本件土地(一)、(二)、(三)が袋地でないということはできない。

四  そこで申請の理由3について判断する。

≪証拠省略≫を総合すれば、本件(一)ないし(五)の土地はもと佐藤吉玖所有にかかる旧岡山市花畑二六〇番宅地一八一坪二合四勺であったが、昭和二四年八月佐藤は右土地を東西に分割して、西側部分を村上長吉に、東側部分を藤岡卓次に各売渡し、同月二五日に二六〇番宅地九〇坪六合二勺(西側部分)と二六〇番三宅地九〇坪六合二勺(東側部分)に分筆登記すると同時に村上と藤岡卓次への各所有権移転登記を経由したこと、その後二六〇番三の土地は、卓次の死亡により藤岡ミサオほか七名が相続し、昭和二七年八月一六日に二六〇番三、四、五の三筆の土地に分筆され、右分筆後二六〇番三の本件土地(一)は被控訴人藤岡に、二六〇番四の本件土地(二)は順次、藤井光夫、中野捨男を経て被控訴人山崎に、二六〇番五の本件土地(三)は被控訴人今岡に各譲渡されたこと、前記二六〇番の土地は昭和二五年八月二四日に村上から浅野武男に売渡され、武男と控訴人初子が共有することになったが、武男死亡後控訴人初子の単独所有となり、昭和四八年五月一〇日に二六〇番(本件土地(四))と二六〇番一〇(本件土地(五))に分筆されたことを一応認めることができる。

ところで、一筆の土地を分筆して全部を同時に譲渡したことによって袋地を生じた場合には、右袋地の取得者は民法二一三条二項に基づき分筆前一筆であった残余の土地についてのみ囲繞地通行権を有するに過ぎないと解するのが相当であるところ(最高裁判所昭和三七年一〇月三〇日判決、民集一六巻一〇号二一八二頁参照)、本件におにて佐藤吉玖が昭和二四年八月に一筆であった本件土地(一)ないし(五)を分筆して全部を同時に村上長吉と藤岡卓次に譲渡したことは前記のとおりであるから、右分筆譲渡によって本件土地(一)、(二)、(三)(右分筆譲渡された当時は二六〇番三)が袋地化したかについてみるのに、≪証拠省略≫を総合すれば、佐藤が分筆譲渡した昭和二四年八月当時には、公衆浴場(ホームラン湯)が現在の太陽湯よりやや北寄りに位置し、谷川所有地の南側部分に本件土地(一)ないし(五)の北側境界に沿って新京橋通と若宮町通に通ずる幅員二・三メートルの通路(別紙三図面の甲通路、以下甲通路という。)が存在していたこと、右甲通路は昭和四〇年ころに谷川がその所有地の南側境界にブロック塀を設置したところまで存続していたこと、浅野武男が本件土地(四)、(五)を買受けた後昭和二五年ころにその北側境界部に板塀を設置したが近隣から別に苦情はでなかったこと、谷川と甲通路の通行に関して明確な合意があったわけではないが、藤岡卓次はじめ被控訴人らは皆甲通路を通行して新京橋通に出入していたほか公衆浴場の利用者など付近の住民も自由に通行していたこと、被控訴人らは甲通路が閉鎖されるとは夢想だもせず、通路は確保されているものと安心して本件土地(一)、(二)、(三)を各買受けたこと、甲通路は村上長吉や被控訴人らも市道と思い込むほどのものであったこと、甲通路の一部に本件土地(四)、(五)はかかっておらず、他に右土地内に新京橋通に出る通路は存在しなかったこと、以上の事実を一応認めることができ(る。)≪証拠判断省略≫。

以上疎明事実によれば、甲通路につき利用者と所有者の谷川との間に明確な合意があったわけではないとはいえ、佐藤吉玖が本件土地(一)ないし(五)を分筆譲渡した当時、その当事者が甲通路の閉鎖までを予期することは困難であったと窺われ、そのような事情のもとでは右分筆譲渡によって本件土地(一)、(二)、(三)が袋地となったとはいえず、被控訴人らの主張は採用できない。

五  そこで被控訴人らが本件土地(四)、(五)に対して民法二一〇条に基づく通行権を有しているかにつき検討する。

民法二一一条によれば、通路として通行権者のために必要でかつ囲繞地のために損害が最も少ないものを選定することが要求されている。そこで本件において、本件仮処分決定対象部分(以下丙部分という。)と乙通路との比較を主にして審案するに、≪証拠省略≫を総合すれば、乙通路は被控訴人山崎方から新京橋通まで約四五メートルある、釣型に曲折した通路であり、太陽湯の北側部分は幅員が約三メートルあって比較的広いが、太陽湯と谷川荘の間隙部分は幅員が約一メートルしかないこと、乙通路は釣型に曲折しているが、甚しく迂回した通路というわけではないこと、被控訴人らばかりでなく、谷川荘の住人も乙通路を通行していること、他方、丙部分は被控訴人山崎方から約三〇メートルで新京橋通に出る直線通路で、控訴人省吾の新築建物および控訴人初子所有の店舗兼居宅の各裏側に位置していること、控訴人省吾においては丙部分に温水器を設置する計画が、控訴人初子においては丙部分に便所を移転し、商品を格納する場所にする計画があること、また被控訴人らは、控訴人らが昭和四八年六月初旬ころに本件土地(五)上にあった旧建物(浅野アパート)を取壊しにかかったときから再三にわたり控訴人らに対して通路の開設を求めたが控訴人らはこれを頑強に拒絶し、突貫工事で控訴人省吾所有の建物を新築したこと、以上の事実が一応認められる。右事実からすると、本件土地(一)、(二)、(三)から公道に出る通路をいずれに選定するかは一概に言い切れないが、抑も前記の佐藤による分割譲渡の方法が不適切であったために本件土地(一)、(二)、(三)が袋地化したことは否定できず、控訴人らは右分割譲渡の直接の当事者ではないとはいえ、できうる限り本件土地(四)、(五)内に通路が求められるべきであるといえるし、控訴人ら主張の火災等の場合の安全避難という観点からするも、乙通路は谷川荘に居住する多数の人も利用し、釣型に曲折しているのであるから、丙部分より安全だとは断じられず、また控訴人らが蒙っているという損害は、≪証拠省略≫によっても、被控訴人らの通行権を否定すべきほどのものであるとの適確な疎明があるとは認められない。そして、被控訴人らが従来本件土地(四)、(五)を通行していなかったからといって、それは本件土地(五)上にあった浅野アパートのために遮断されて事実上通行不能であったからであるから、被控訴人らの本訴請求が権利の濫用であるとはいえない。

かくみてくれば、権利関係の確定にいたるまで暫定的な規整をはかる仮処分事件としては、被控訴人らに本件土地(四)、(五)に対する囲繞地通行権があることの疎明があるとした本件仮処分決定は首肯できる。

六  保全の必要性について判断するのに、丙部分に控訴人らが温水器や倉庫などを設置する計画があることは控訴人らの自認するところであり、右計画が実行されれば被控訴人らに通行権が認められてもその執行が著るしく困難になることは明らかであるから、本件は保全の必要性において欠けるところはない。

七  控訴人らは、その主張5のとおり本件仮処分決定を取消すべき事由が存すると主張するが、右主張の事由はいずれも民訴法七五九条の特別事情には該当せず、他に、右事由が存在するとしても本件仮処分決定を取消すべき法的根拠はないから、右主張はそれ自体理由がない。

八  よって、被控訴人らの本件仮処分申請は理由があるから、被控訴人らに担保として二〇万円を供せしめたうえ、本件仮処分決定を認可した原判決は結局相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用につき民訴法九五条、八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 平田孝 裁判官 南三郎 田中俊夫)

〈以下省略〉

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